共通テスト過去問

2019年【物理】本試験 第2問

問1

問題文に「ダイオードの両端の電位差により、それぞれの半導体 A, B 内の電流の担い手(キャリア)は接合面に移動して、接合面付近で結合することで半導体Aから半導体Bへ電流が流れる。」との記述がある。
従って、AからBに電流が流れる状況は、半導体Aの電流の担い手が「正の電荷」を持っており、半導体Bの電流の担い手が「負の電荷」を持っている場合であると推測される。
従って、答えはとなる。

ダイオードの仕組みを勉強していれば、ダイオードはp型半導体(電流の担い手はホール(正孔))とn型半導体(電流の担い手は電子)であり、p型半導体からn型半導体の方向にのみ電流が流れることを知っていると思うが、この知識がなくても、問題文を注意深く読めば、正解は導き出せる。

知らない用語や概念が出てきても、諦めずに問題を丁寧に読めば、大抵は正解を導くことが出来る。

問2

電流が正の場合にはダイオードに電流が流れるので、2つの抵抗を並列に繋げた回路と考えることが出来る。
一方で電流が負の場合にはダイオードには電流が流れないので、上の抵抗のみがある回路と同じである。

同じ抵抗を2つ並列に繋げれば抵抗は $\frac{1}{2}$ になるので、電流は 2 倍になる。
従って、電流が正の場合には電流は負の場合の2倍の電流が流れる。
つまり、答えはとなる。

問3

今、導体棒には抵抗がないとしているので、左側の回路には電流は流れず、右側の回路にのみ電流が流れる。
その電流の大きさは
$$I = \frac{V}{r}$$
である。
導体棒には $I$ だけの電流が流れているので、磁場 $B$ から受ける力は
\begin{align}
I B l &= \frac{V B l}{r}
\end{align}
となる。従って、答えはとなる。

問4

導体棒の速さが一定の速さ $v$ のときには、導体棒には誘導起電力 $v B l$ が生じている。
また、この誘導起電力の向きは上向きに電流を流す方向である。

このとき、導体棒の速さが一定であるので磁場から導体棒は力を受けていない。
すなわち、電流は導体棒を流れていない。
従って、電流は左側の回路を流れているだけである。その電流は
$$\frac{V}{R + r}$$
である。
この状況で右側の回路についてキルヒホッフの法則を用いると、抵抗 $r$ で電圧降下が起きていることを考慮して
\begin{align}
V – \frac{r V}{R + r} &= v B l \\
v &= \frac{RV}{BL(R + r)}
\end{align}
と求まる。従って、答えはとなる。