共通テスト過去問

2023年【物理】本試験 第1問 問1

この問題は、剛体の力学の問題です。すなわち、「力のモーメント」の釣り合いが問題を解くポイントとなります。
板に働く力を考えてみましょう。
まず、板を 2:1 に内分した点に 60 kg の人が片足で立っているので、そこには $60 g$ [N] の力が鉛直した向きにかかっています。(ここに、$g$ は重力加速度です。)
次に、2つの体重計から垂直抗力が鉛直上向きにかかっています。ここでは、その大きさは、まだ分からないので、体重計(a)から受ける垂直抗力を $N_a$ [N]、体重計(b)から受ける垂直抗力を $N_b$ [N] としておきます。
この2つの垂直抗力は、板から2つの体重計にかかる力の反作用として生じているので、各々 $N_a$ と $N_b$ が体重計にかかる力となり、それが体重計のメモリが示す力(重さ)ということに注意して下さい。

ここで、鉛直方向の力の釣り合いより
$$ N_a + N_b = 60 g$$
という式が成り立ちます。

次に、人が乗っている点周りの力のモーメントの釣り合いの式を考えてみましょう。
この時には、人が乗っていることによる力 $60 g$ はモーメントの釣り合いの式には出て来ないことに注意しましょう。
$$ 2 \times N_a – N_b = 0 $$
という式が成り立ちます。これは時計回りに回る方向をモーメントの正の方向に考えました。従って、$N_b$ のモーメントが負になっています。

これらの式を、連立して解くと
$$ N_a = 20 g, N_b = 40 g$$
と求まります。
従って、答えは、ということになります。

ここで、モーメントの釣り合いを、人が乗っている点を中心として考えましたが、他の点の周りのモーメントで考えるとどうなるでしょうか?
例えば、体重計 $a$ の周りのモーメントの釣り合いを考えてみましょう。
このとき、$N_a$ はモーメントの釣り合いの式には出て来ません。
モーメントの釣り合いの式は時計回りを正として
$$ 60 g \times 2 – N_b \times 3 = 0$$
となります。これより、$N_b = 40 g$ が出て来ます。あとは、最初に求めた、鉛直方向の力の釣り合いより、$N_a = 20 g$ が出て来ます。
連立方程式を解かなくても良い分、こちらの方が、計算が簡単ですね。
同じようにして、体重計(b)周りの力のモーメントの釣り合いの式を立てて、問題を解いてみて下さい。

試験時間に余裕がある場合には、色々な解き方をして、同じ答えが出るかどうかを確かめてみると良いでしょう。