共通テスト過去問

2023年【物理】本試験 第1問 問3

これは力学の問題ですね。
どこで摩擦力がどちら向きに働くかを丁寧に考える必要があります。

まず、左向きに滑って来たブロックがそりの上に乗ると、ブロックとそりとの間には摩擦力が働きます。
ブロックは運動(左向き)と逆方向(右向き)に摩擦力を感じます。
その反作用としてそりは左向きに力を感じます。
そうして、ブロックを乗せたそりは左に運動することになります。
ブロックとそりの間には摩擦力が働いているので、(十分にそりが長いとすると)いずれ摩擦力によりブロックはそりに対して止まってしまうでしょう。
摩擦力によってエネルギーは失われますが、摩擦力の反作用はそりを動かす力として使われますので、運動量は保存します。すなわち、摩擦力は「内力」です。

このことを念頭において、設問に答えましょう。

そりが固定されていて動けない場合には、摩擦力の反作用はそりの運動に変わることはありません。すなわち、摩擦力は内力ではありません。そりが固定されているという「外力」が働いているということです。つまり、この場合には、運動量もエネルギーも保存しません。
従って、が答えとなります。

一方で、そりが左に動ける場合には、摩擦力は内力と考えられるので、運動量は保存しますが、エネルギーは摩擦力(摩擦熱)によって減少します。
従って、が答えとなります。

摩擦力の反作用が、別の物体の運動に変わることが出来るか、すなわち「内力」と考えられるかどうかが重要です。その場合には運動量は保存します。しかし、摩擦力が発生しているので、エネルギーは減少します。
そりが十分に長くブロックが止まるまでそりの上でいるとすると、これは衝突係数 $e = 0$ の非弾性衝突(エネルギーが保存しない衝突)とみなせます。