共通テスト過去問

2023年【物理】本試験 第2問

速度に比例する抵抗力に関する問題は解いたことはあるかも知れませんか、速度の2乗に比例するはあまり見かけませんから、びっくりするかも知れませんが、丁寧に問題文を読めば、難易度はそれほど高くありません。
解いたことのないタイプの問題にも柔軟に対応出来る力が問われています。

問1

物体が空気中を運動すると空気による抵抗(いわゆる空気抵抗)を感じます。
「抵抗」というくらいですから、運動の方向とは逆向きの力が働いて、運動を妨げるような力が働くことは、実体験からもわかると思います。
すなわち、(ア)は「逆向き」ですね。
次に、抵抗力がどのように変化するか問われています。最初は、速度が0です。その時には抵抗力は働かないはずです。それが、速度が増えるに従って抵抗力を感じるようになるのですから、(イ)は「増加」ですね。
抵抗力を感じて加速度は減少するはずです。そうして、加速度が0となった状態(つまり等速運動になった状態)が終端速度です。
従って、(ウ)は「減少」となります。
結局、答えは となります。

問2

$n = 3$ の時の終端速度は、表1 から 20 cm を 0.13秒かかって落下していることがわかります。単位 0.2 [m] = 20 [cm] に注意して、その時の速度 $v_f$ は
$$v_f = \frac{0.2}{0.13} = 1.53…$$
となるので、9 には 、10には 、11には が入ります。($1 = 10^0$ に注意して下さい。)

問3

全ての選択肢について考察してみましょう。
①はアルミカップの枚数 $n$ を増やすと、質量 $m$ も増えますから、$v_f$ の理論値の傾向と一致しています。
②は測定値のすべての点の出来るだけ近くを通る直線を考えるというのは、$v_f$ が質量 $m$ に比例しているはずという理論値を反映した考察です。しかし、この場合、$n = 0$ のとき、すなわち $m =0$ で $v_f =0$ とならなくてはならないですが、グラフからその直線の縦軸との切片は原点から大きく外れています。これは予想した結果と異なります。すなわち、答えは です。
③はアルミカップの枚数 $n$ と質量 $m$ は比例関係にあるはずなので、全くの見当違いです。
④は測定値がとびとびなのはアルミカップの枚数を1枚ずつ増やしているので当然の結果です。

問4

ここで必要になってくる情報は、抵抗力が速度の2乗に比例するとした場合の終端速度の式
$$v_f = \sqrt{\frac{m g}{k’}}$$
です。
この式が成り立っていることをみるには、グラフの横軸と縦軸をどのように取れば良いのかという問題です。
まず、質量 $m$ とアルミカップの枚数 $n$ は比例していることに注意しましょう。
そうすれば
縦軸を $v_f$ 横軸を $\sqrt{n}$ とすれば直線が得られることがわかります。
さらに、先の式の両辺を2乗して
$$ v_f^2 = \frac{m g}{k’}$$
を考えると、横軸を $n$ 縦軸を $v_f^2$ としても直線関係が得られることがわかります。
従って、答えは ④,⑧です。

問5

まず、加速度は時間 $t$ によって刻々と変化し、最終的に 0 に収束するはずです。
従って、加速度 $a$ を求めるには (c) のように $\Delta t$ ごとの速度の変化から $a$ を求めなくてはなりません。
また、運動方程式を考えると、$R$ を抵抗力として
$$ m a = m g – R$$
と書けるので
$$R = m(g – a)$$
と求めることが出来ます。すなわち、答えは となります。

速度の2乗に比例した空気抵抗というのは初見かも知れませんが、特に難しい計算などは必要なく、与えられた式を考察することによって答えが導かれます。なので、見たことがない問題だと尻込みせずに、落ち着いて問題文を読めば、それほど難しくなく、正解に辿り着くことが出来るでしょう。