共通テスト過去問

2023年【物理】本試験 第3問

ドップラー効果の問題です。
音源と観測者が近付いているときには周波数は高くなり、遠ざかっているときには周波数は低くなることに注意して、問題を解いていきましょう。

問1

円運動の向心力は
$$m \frac{v^2}{r}$$
です。また、向心力は、いつも円運動の中心 O に向かっており、運動の方向と常に垂直なので、向心力は仕事をしない。つまり、仕事は 0 です。
従って、答えは となります。

向心力の大きさの選択肢として、$m r v^2$ がありますが、これは力の次元を持たないことに注意して下さい。実際に、この次元は
$$[kg][m][m/s]^2 = [kg][m]^3[s]^{-2}$$
となり、力の次元
$$[kg][m][s]^{-2}$$
となりません。従って、①、②は絶対に選んではならないことが、問題を読まなくても分かります。
円運動していて、向心力が 0 ということはありませんから、③もありえません。
次元を見るだけで、選択肢をかなり絞ることが出来ます。
注意しておくと良いと思います。

問2

音源が動いているときのドップラー効果の式は
$$f’ = \frac{V}{V – v} f_0$$

です。今、A点ではAQ方向の速さが v になりますので
$$f_a = \frac{V}{V – v} f_0$$
となります。音源と観測者が近付いているので、周波数は大きくなるはずなので、分母は $V + v$ でなく $V – v$ です。
このように、逐一チェックしておくと、計算ミスを防げます。

次にB点ではBQ方向の速さが v で音源と観測者が遠ざかります。従って
$$f_B = \frac{V}{V + v} f_0$$
となります。ここでは、音源と観測者が遠ざかっているので、周波数は小さくなるはずなので、分母は $V – v$ ではなく $V + v$ です。

ここで得られた $f_A$ と $f_B$ を使って
$$\frac{f_A}{f_B} = \frac{V + v}{V – v}$$
$$f_A(V – v) = f_B(V + v) \\
$$
$$v = \frac{f_A – f_B}{f_A + f_B}$$
と求まります。従って、答えは となります。

問4

観測者が動くときのドップラー効果の式は
$$f = \frac{V – u}{V} f_0$$
ですが、これを知らなくても、音源からみて観測者が近づく速さが一番大きくなる点Aにおいて周波数は最も大きく、音源からみて観測者が遠ざかる速さが一番大きくなる点Bにおいて周波数が一番小さくなることが言えます。
したがって、答えは となります。

問5

4つのすべての選択肢について、考えてみましょう。
(a) 音の速さは、音源の速さに依存せずいつも一定の $V$ です。従って、これは間違った主張です。
(b) 原点 O に達する波長は、音源が O を中心とした円運動をしているので、いつも音源の速さは接線方向にあり、中心向きの速さの成分はありません。従って、ドップラー効果は起こりません。従って、音源の位置によらず全て等しいと言えます。
(c) 音の速さは観測者や音源の速さによらず一定の $V$ です。従って、これは正しい主張です。
(d) 点C と 点D においては、観測者は音源に近づいても遠ざかってもいないので、ドップラー効果は起こらず、波長は等しいはずです。従って、この主張は誤りです。

結局、答えは となります。

ドップラー効果がなぜ起きるのかを理解していれば、解ける問題です。
また、実生活において、音源と観測者(自分)が近付いているときに周波数が高くなり、遠ざかるときに低くなることと矛盾ない答えとなっているかどうか確かめることで、ミスを減らすことが出来るでしょう。